主体的であることの大切さ

昨日から数日は、「人が死なない防災」という本のご紹介しています。とても大切なことなので、少しじっくりと数日かけて書いていきたいと思っています。

 

昨日の記事はこちらです。

selfmanagementforkids.hatenablog.com

  

筆者は、本の中で「日本の防災の問題点」として、

  • 日本の防災は行政主体で進められており、私たち一人ひとりにあまりにも主体性がなさすぎる

と指摘しています。

 

 

主体的であることの大切さ。

防災に限らず、このブログの中ではたびたび取り上げているキーワードです。

 

 

昨日、一枚の地図をご紹介しました。当時配布されていたハザードマップの中で、津波到達想定区域の外にお住いの方々が亡くなってしまったということがよくわかる地図です。私は初めてこの地図を見た時、強い衝撃を覚えました。

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そして、本を読んで数か月後に、時間を作って釜石までひとりで行きました。そして、津波が到達したという高台に立ってみて、確かに私がこの場所に住んでいて、ハザードマップでも「浸水想定区域」から外れていたら、安心して自宅にいるかもしれない、耐震が十分されている自宅が一番安全だと私も考えてしまうかもしれない、と考えてしまいました。

 

本の中にはこのようにあります。

日本の防災は、何が間違っているのだろうか。

私は、根こそぎやられてしまった被災地の瓦礫の中を歩きながら、考えました。

 

相手が自然である以上、時にはこのような巨大災害だって起こり得るのに、「100年確率」のような防災が進んできた過程で、いつしか自然を制圧したかのような驕りをもってしまったのではないか。自然の大いなる営みに対する畏敬の念を、完全に忘れてしまったのではないか。

そのような「甘え」をつくり出したのは、行政主体で進められてきた防災です。そして私たちは、いつの間にか、行政に身の安全を委ねる(ゆだねる)ようになってしまった。

自然が時にその営みの中でもたらす大いなる災いから身を守るためには、自らがそうした営みの中にある一構成員であることを自覚するとともに、人為的に与えられた想定にとらわれることなく、また自らの命を行政にゆだねることなく、主体的にその時の状況下で最善を尽くす以外にありません。 

 

この本は、3.11のすぐ後に書かれた本です。この本が書かれた後にも、日本はさまざまな自然災害に襲われてきました。その中で、「想定にとらわれてはいけない」という言葉をあちこちで聞くようになり、だんだんと私たちの意識は変わってきているようにも思います。今回の豪雨災害でも、主体的に必死で生き残ろうとしたけれど、命を落としてしまった事例もたくさん報道されていました。必死で最善は尽くしたとしても、大きな自然の前にはなすすべもないこともあると思います。

 

しかしその一方で、とても残念なことに、今回の豪雨災害でも、記者の方が気象庁の方に対して「なぜもっと早く警告が出せなかったのですか」と詰め寄る場面がありました。今回の豪雨災害に限らず「避難勧告を出すのが遅かったのではないか」と指摘される場面をたびたび目にします。

 

警報が早ければ人々は逃げてくれるのでしょうか。

逆に、警報がなければ人々は逃げないのでしょうか。

 

もちろん、警報は参考になると思います。天気の予測は専門家でなければできない部分も大きいですから、気象庁の方の出してくださる情報はとても大切です。

しかし、あくまでそれは「参考」にしかすぎません。

あらゆる情報と経験をもとに、判断するのは自分自身です。自分自身で命を守るのです。

 

 

本の中では、「生きるための指針」として、3つの原則が書いてあります。

その一「想定にとらわれるな」

その二「最善を尽くせ」

その三「率先避難者たれ」

 

三原則のひとつめの想定にとらわれるな」についてはこんなエピソードが載っています。

まず、ハザードマップを配ります。子どもたちの反応は、大方の大人たちの反応と一緒です。地図上で自分の家を見つけて「ああよかった、おれんちセーフ。おまえんちは?おまえんちアウト」セーフだアウトだ、と大騒ぎです。

 

ひとしきり大騒ぎした後で、私は子どもたちに問いかけます。「なあ、君の家はほんとうにセーフなのか?」

そうすると、子どもたちは答えます。「だって、(浸水想定区域の)色ついてないもん」。

まったくもって素直な反応ですね。さらに私は続けます。

「でもな、この色ってどうやってつけたんだっけ。明治三陸津波がもう一回来たらこうなりますよって意味だよな。じゃあ、この次の津波明治三陸津波なのか?」

「あっ、そうか」子どもたちはここで直ちに気づくのです。もちろん、大人だって多くの人は気づくのですが、その”気づき”に違いがあります。子どもたちは、即座に、心から理解したのです。

 

私のブログを読んでくださっているみなさんなら、ハザードマップは参考になるかもしれないけれど、ハザードマップだけを信じていてはいけない」ということを、心から理解してくださると思います。

 

明日以降は、本当に生き残るために必要な

その二「最善を尽くせ」

その三「率先避難者たれ」

 について、書いていきたいと思います。

 

ぜひ手に取って、ご自身で読んで考えていただきたい一冊です。必ずみなさんの役に立つと思います。  

人が死なない防災 (集英社新書)

人が死なない防災 (集英社新書)

  • 作者:片田 敏孝
  • 発売日: 2012/03/16
  • メディア: 新書
 

 

今日も読んでいただきありがとうございます。自分で学べて、自分で考えられる子を増やしたいという想いでブログをはじめました。できるだけ多くの方の目に留まるといいなぁと思ってランキングに参加しています。応援していただけると嬉しいです。

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