社会に出て活躍するということ-③試行錯誤能力を身につけるための第一歩

先日、教育を専門としている方とお話しする機会があり、「社会に出て活躍できる人の特徴」について伺いました。その方は、小学生から高校生までの学習指導をしていらっしゃる方で、短期的な成績向上ではなく将来に向けて伸びて行くことを重視して指導されている方です。現場をよく知る方だからこその経験に基づく話がたくさんあり、話をしながら私自身も長く疑問に持っていたことに整理がついたこともあって、ここ数日はその時に伺った話や自分自身が考えたことをまとめています。

 

昨日までのブログはこちらにあります。

selfmanagementforkids.hatenablog.com

selfmanagementforkids.hatenablog.com

 

 

今日は、

どうすれば「試行錯誤能力」が育つのか、逆にどうすれば試行錯誤能力が育たないのか 

 について書きます。

 

 

昨日のブログの中で、「勉強嫌いになる子ども」の原因のひとつは、干渉しすぎる親にあると書きました。これを解決する方法はとても簡単で、親が子どもにあれこれ言うのをやめて本人に任せればいいというところまでは昨日書きました。

 

 

でも、 「そんなこと言っても、ほおっておくとうちの子は勉強しないんですよ」と多くの方は考えるかもしれないと思います。それでもやはり、干渉しすぎることはあまり良くないことだろうと私は思います。なぜなら理由はとても簡単で、「本人以外の人が整えた道の上を歩んで育ってきた子どもは、試行錯誤能力が十分に育たないまま大きくなってしまうため」です。

 

 

 

仮に、「ほおっておくとうちの子は勉強しないのですよ」と言って、子どものことを導いてあげたとします。中学だけでなく高校時代も導いて、仮に無事に大学にも合格できたとしましょう。

 

 

さて、大学の教養を終えた時点でその子はどんな子に育っているでしょうか?

 

  1. 勉強ができて、社会でも活躍できる
  2. 勉強はできるが、社会では活躍できない
  3. 勉強はできないが、社会で活躍できる
  4. 勉強はできないし、社会でも活躍できない

 

 

きっとこういうタイプの子どもは「2」に陥ってしまっている可能性が高いだろうと思います。実際に、研究室に配属された瞬間に途方に暮れてしまう学生さんたちを、第三者ながらこれまでたくさん見てきました。「勉強はできるけれど、社会では活躍できない子ども」は、超一流大学の中にも残念ながら少なくないのが現実です。

 

なぜなら、初日のブログに書いたように、高校や大学の教養までの「答えのある勉強」と、社会に出てからの「答えのないこと」とはそもそも性質の違うもので、頭の使い方が全く違うと思います。「答えのないこと」に立ち向かうためには試行錯誤能力が不可欠なのに、親や塾の先生が整えてくれた道を歩みながら「与えられる勉強」に対して「答えのある勉強」しかやってこなかった子どもは試行錯誤能力が十分育っていないことが多いと感じます。

 

 

 

もちろん、大学の研究室に配属されて梯子を外されたような感覚に陥った時に、自分なりに立て直す学生さんもいらっしゃいます。大学では問題が顕在化せずに社会に出た後に「このままではまずい」と立て直していく方もいらっしゃるのかもしれません。基本的には人生どんなタイミングからでもやり直しはきくので、そこから立て直していくのでももちろん悪いことではないかもしれません。

 

でも、「放っておくとうちの子は勉強しないのですよ」と言って道を整えてあげる親は、将来そのせいで子どもが困ることになるなんて思ってもみないと思います。子どものために良かれと思ってやっていることで、それが子どもの試行錯誤の機会を奪っていることになっているだなんて、とても不本意なはずです。

 

もちろん勉強以外にも試行錯誤能力を育てる場はたくさんあります。

 

でも、社会人になって「売り上げを上げる」という漠然とした目標を与えられて試行錯誤するように、「成績を上げる」という目標に対して自分がどのように取り組むかを考えることは、学業が本分である学生にとってはそれ以上ない題材なのです。それを、勉強のやり方にあれこれ口を出してしまうということは、試行錯誤の場を子どもから取り上げてしまうことになると考えます。

 

繰り返しになりますが、もちろん試行錯誤能力を身につける場なんて勉強以外にもいくらでもあるでしょう。スポーツのトレーニング方法を考えるのもその典型ですね。遊びの中でも育つものだと思います。それでも毎日学校に行ってできれば成績を上げたい学生にとっては、「成績を上げる」という漠然とした目標に対する取り組み方を考えるのは良い題材であることは間違いありません。

 

 

では、本人に勉強を全て任せて何も干渉せずに野放しで放置しておけばいいのかというと、それはそれで「分からない→できない→めんどくさい」のループに入ってしまう可能性が高く、完全に放置すればいいわけではありません。

 

 

 

ではどうすればいいのでしょうか。

 

 

私ははじめはその答えを持ち合わせていませんでした。でも、先日お話しした方といろいろ議論するうちに、「親は、子どもの口から解決方法を引き出すためのサポート役に徹するのが一番いいのだろう」という結論になりました。

 

 

例えば、勉強しないといけないことはわかっていても、どうしてもゲームをしてしまう子どもがいたとします。

 

その場合は、なぜ勉強の時間をうまくとれないのかを聞いて、解決方法を子どもの口から引き出してあげればいいのです。具体的には、「どうしてゲームの時間に区切りがつけられないのか」を聞いたりしながら、原因をひとつひとつ探りながら「ゲームと勉強はバランス取れるなら取る解決策」を子どもの口から引き出してあげればいいのです。もちろん「うざい」聞き方にならないようにタイミングや話し方は注意しなければなりませんが、もしも子ども自身が自分で考えて、ゲームと勉強のバランスをとるためのアイデアを出してきたら、それは大きくて大切な前進です。試してみてまたしばらくしてうまく行かないところが出てきたら、また見直しをすることも、大きな前進。こうしながら「試行錯誤能力」は経験と共に蓄積されて力となっていくわけです。

 

これは、「ゲームと勉強のバランスをとる」ということを題材とした試行錯誤能力の向上方法です。決して親からルールを決めない。ルールは本人が決めていきます。なぜなら試行錯誤するのは子ども自身でなければ子ども自身の試行錯誤能力は育たないからです。「どうして?」とか「じゃあどうすればいいかな?」とか掘り下げるサポートを親はしてあげればいいと思います。

 

 

 

毎日の勉強量はどうしようか

定期テストまでに何をどんな順番で勉強しようか

土日の勉強はどうしようか

遊びの時間はどうやって捻出しようか

 

 

勉強を題材としても考えることはたくさんあるし、実験的に試しながら試行錯誤することはたくさんあります。

 

そんなの理想論だよ、と思われるかもしれません。時間はかかりますが、「自由と責任」を手に入れて育った子どもとそうでない子どもとの、5年後、10年後の姿は全く違うものであると思います。

 

 

親として一番最悪なのは「ほらみたことか、成績が下がったでしょ、やっぱり自分がいないとダメね」などと言って、子どもの試行錯誤の機会を奪うことですよね。そんなことにならないように、親や塾の先生など周りの大人が「試行錯誤能力の大切さ」を肝に銘じる必要があると思います。間違っても「勉強はできるけど、社会では使い物にならない」子どもになんて育ってほしくないですものね。塾選びの時にも十分に注意するといいと思います。

 

――――

 

今日は、どうすれば「試行錯誤能力」が育つのか、逆にどうすれば試行錯誤能力が育たないのかについて書いてきたつもりです。

 

昨日書いた

  • 勉強できない子どもを作り出してしまう親
  • 社会で活躍できない子どもを作り出してしまう親

に共通するのは、試行錯誤の機会を奪い、子どもの自由と責任を奪ってしまう点です。親に限らずまわりの大人みんなの責任で、塾などの学習環境を選ぶ時には親が十分に注意をしておく必要があると思います。

 

小学生や中学生にとっては勉強の内容自体は「答えのあること」ですが、勉強方法は「答えのないこと」なのですよね。「答えのないこと」に取り組む機会を奪わないようにしたいと思います。

 

試行錯誤能力を育てる機会はそこら中に溢れています。明日は、娘の学校の担任の先生が与えてくださった試行錯誤能力を育てる機会について書きたいと思います。

 

 

おまけ:週末の娘と息子の遊びの一幕です。積み木遊びは我が家ではいまだに人気です。(上から二個目の積み木には娘の名前が彫ってあるので白抜きしました。娘が一歳のころから買い集めた積み木たちで、我が家にはこの3倍ぐらいの量の積み木があります)

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今日も読んでいただきありがとうございます。私自身は教育の専門家ではないし、考えをまとめつつ書いているところもあるのでそこはちょっと違うのではとか、もっとこういう見方もあるよというのも教えていただければ、それらも反映しながら考えをまとめていきたいと思います。

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