先日、教育を専門としている方とお話しする機会がありました。その方は、小学生から高校生までの学習指導をしていらっしゃる方で、短期的な成績向上ではなく将来に向けて伸びて行くことを重視した指導をされている方です。
いろいろとお話しする中で、共感する部分がたくさんあったし、話をしながら自分の中で整理がついたことがありました。少しまとめる形で数日に分けてその時に伺った話や考えたことを書いていきたいと思います。
昨日は、高校までの勉強と、社会に出てからのことのギャップについて書きました。
selfmanagementforkids.hatenablog.com
こちらのブログに、通りすがりのリケジョ様よりこんなコメントをいただきました。
通りすがりのリケジョ
仰りたいこと、凄くわかります。
私の少ない経験からですが
勉強できる子と出来ない子を作りだしてしまう親
社会で活躍できる子と出来ない子を作りだしてしまう親
と言うのは
子供を勉強嫌いにしてしまう親の2大思考に当てはまると思います。そして先日行われた共通試験を見る限り、今後はこの子供を勉強嫌いにしてしまう2大思考をお持ちの親御様を持つお子様は大学受験でも苦戦を強いられると感じました。
シリーズ興味深く拝見させていただきます。
通りすがりのリケジョ様、いつも示唆に富むコメントをありがとうございます。
- 勉強できない子どもを作り出してしまう親
- 社会で活躍できない子どもを作り出してしまう親
にひとつ共通点があるという話を、先日お話しした方もおっしゃっていました。
今日はそのことについて書きながら、どうすれば「試行錯誤能力」が育つのか、逆にどうすれば試行錯誤能力が育たないのか、を書いていきたいと思います。
―――
まず、話は「勉強嫌いの子どもの作り方」から入っていきます。
中学生の後半ぐらいから高校生にかけて勉強嫌いになる子どもには二種類あるという話を、先日お話しした方から伺いました。
- 小さい頃から親がずっとそばで勉強を見て「どうしてこんな漢字もかけないの」「間違えたらしっかり消して」「式はちゃんと書いて」と声をかけられてきた子ども。こういった子どもは小学生か中学校に入りたてのころまでは親の言うことを素直に聞いているけれど、「勉強は嫌だな」という気持ちが心の中で育ってしまう。すっかり勉強嫌いになるだけでなく、中学生になって反抗期が来たとたんにこれまでのように親の言うことを聞かなくなる。
- 小学校高学年ぐらいから少し難しくなる勉強を放置してしまい「できない→わからない→めんどくさい」というループに入ってしまった子ども。勉強をやっていないのだから難しくてできないのだろうということは分かるけれど、どうすれば勉強が分かるようになるのか、どこまで戻って始めたらいいのかが分からない。
1のような子どもの場合は、その後は
- 中学生ぐらいまでは地頭の良さだけで乗り切れるので中学までは上位にいるものの、高校ぐらいになって2のループに行ってしまう子どももいれば、
- 親とは独立して自分で気づいて自分で勉強し始める子どももいる
とのこと。
2のような子どもの場合は、
- 結局分からない→めんどくさいのループのままで止まってしまう子どもや、
- 「分からない」ことの答えを教えてもらえるだけでなく、どうやって自分で勉強していけばいいのかを学べて、自分なりに分からないところまで戻って勉強できる環境に置かれれば、少しずつもつれた紐がほどけるように勉強していく子どももいるとのことでした。
――
1については、以前こちらのブログの中に書いた
selfmanagementforkids.hatenablog.com
逆にゲームをやめさせたいなら
「あなた!なんでこんなに進まないの!?」
「今から1時間ゲームしなさい!お母さんが後ろで見ててあげるから!」
「ゲームを1時間してからじゃないと、遊びに行っちゃダメよ!」
「なんであんたはこんなにゲーム下手なの!」
とか
ガミガミ毎日言ってみてください。
にも通じるものがあるなと感じました。
このブログの中でご紹介した川上先生(id:hirokikawakami)も、塾を経営していらっしゃる先生なので、もしかしたらガミガミ言う大人のせいで勉強が嫌いになる子どもを見てこられたのかもしれません。
この解決方法としては簡単で、親が子どもにあれこれ言うのをやめて本人に任せる、というしかないと思います。
「そんなこと言っても、ほおっておくとやらないんですよ」とたいていの親は言うのですよね、と先日お話しした方はおっしゃっていました。でも、ほおっておいたほうが良い理由は、明日書きます。
――
2に関しては、どのようにして周りや本人が気づいて「自分で学びなおせる環境に身を置くか」が解決の糸口になると思います。
すぐに思い出したのは、公文で数学を学びなおした仕事仲間のことです。
selfmanagementforkids.hatenablog.com
この方は、今は旧帝大の教員をしていらっしゃいます。以前のブログに書きましたが、社会人になった後に、中学数学から学びなおすために公文に通われたのですよね。彼の数学の能力は、私たちの業界ではトップ層です。公文で学びなおした彼の覚悟はなかなかまねできるものではないと思います。
例えば中学3年生になって全然勉強が分かっていない状態に置かれている我が子に気づいてしまった場合には、高校受験を考えると短期間で勉強を詰め込んでいかなければ間に合わないかもしれません。ですから「公文で小学校まで戻って学びなおし」なんて流ちょうなことは言っていられないでしょう。
ただ、穴が開いてしまっている(現時点の学校の授業が十分理解できなかったり、分からないままになった分野がある)子どもの場合は、集団塾ではなかなかやっていけないだろうと思います。個別指導塾の中でも特に「教えすぎない塾」を探して通わせるのが良いだろうと私は思います。
ここで「教えすぎない塾」を選ぶことが重要なのは、答えを導き出す方法を1から10まで教えてしまうと、その場では「分かったつもり」になっても、結局本人が一人になった時には問題が解けないためです。きっかけを与えて残りは自分の頭で考えることで、解く力はようやく脳ミソの中に入っていくように思います。
「魚を与えるのではなく、魚を採る方法を教えなければならない」と言われる話に似ています。しっかりと演習も交えながら(教えられるのではなくて子どもが自分で解く演習)教えすぎない塾を選ばれるのが良いのかなと思います。
上で引用した川上先生のブログの中にも教えすぎはよくないという話が時々出てきますね。
塾の先生の中には「自分の欲求を満たすために1から10まで教えてしまう先生もいる」と聞きます。「教えるのが好きな人」が講師になる場合もあるので、子どもをどうやって伸ばすかよりも自分の教えたい欲求が勝ってしまう場合があるようです。
「なんで教えてくれないんですか」みたいなクレームを言う親もいるでしょうしね。
でも、1から10まで教えても本当に伸びない。中学まではそれでよくても高校になった時に絶対に本人が困る、ということを、親もしっかりと肝に銘じておくといいと思います。
――――――
ここまでの話をまとめると、
- 「勉強嫌い」の子どもにはふたつのタイプがある
- ひとつ目(親が干渉しすぎ)を解決するためには、親が干渉を辞めるしかない
- ふたつ目(子どもが勉強が分からなくなってしまう)を解決するためには、分からないところまで戻って、正しい方法で勉強させるしかない
でした。
さて、本題の
どうすれば「試行錯誤能力」が育つのか、逆にどうすれば試行錯誤能力が育たないのか
についてですが、ちょっと長くなってしまったので、また明日に持ち越そうと思います。中途半端ですみません。(勘がいい人ならもう分かってしまっているとは思いますが、明日あらためて書きます)
ちなみに昨日は
どうすれば「試行錯誤能力」と「社会性」が育つのか、逆にどうすればこのふたつが育たないのか、を、明日は書いていきたいと思います。
と予告していました。「社会性」については明日も触れられそうにないので、明後日になると思います。
今日も読んでいただきありがとうございます。受験シーズン真っただ中ですね。どうか皆さんに素敵な春がやってきますように。