新課程の英語の話-②英語における家庭学習の位置づけについて

昨日から、小学生のお子さんをお持ちの方に向けて、新課程の英語の話を書いています。

selfmanagementforkids.hatenablog.com

 

 

昨日のブログに、サツキさん(id:itsnowornever)からこんなご質問をいただきました。

新課程の英語の話-①小学校の英語は「英語に慣れる」ためのものではなかった話 - 研究職ママの子育ち日記~子どもの学び方を考える~

記事を読む限り、今回の改訂意図は「英語は家庭で基礎をやって、できる子、やりたい子には力をつけてもらいたいが、全員そうならなくてもよい」という意味にも受け取れますか? 情報、参考になります^^

2021/07/11 06:36

b.hatena.ne.jp

 

 

「英語は家庭で基礎をやって、できる子、やりたい子には力をつけてもらいたいが、全員そうならなくてよい」という意図にも受け取れますか?

 

 

ご質問ありがとうございます。

公立の小中学校の先生方が「できる子だけやれればいい」というような意図は持っていないとは思いますが、

家庭学習が必須

の状態にはなってしまっていると思います。

 

以前のブログにも書きましたが、小学校教諭をしている友人が「水泳が一番教えるのが難しい。他の教科は子どもたちの能力差はそんなにないが、水泳については、水泳教室に通っていてすでに泳げる子とそうでない子の差が激しい。また、時間も限られる中で、学校の授業の中で泳げるようにするのは正直かなり困難」ということを言っていたのを聞いたことがあります。

 

水泳ならば「できないまま」大人になってもそこまで困ることはないのかもしれません。ただ、英語ができないままだと、中学生になってしまったとたんに困難が待ち受けています。

 

何度も書いていますが、英語はやれば必ず上がるし、どのタイミングでも学習はできます。このブログを読んでいる方でも社会人になってから英語の能力をグンとあげた方も少なくはないと思います。とはいえ、やっぱり、学生時代にもそれなりに英語ができた方が望ましいとは思います。

 

 

小学校の英語において家庭学習が必須となってしまった原因はいくつか考えられると思いますが、ひとつは、

  • 小学校の先生方が、中学校での英語学習の様子が分かっていない
  • 中学校の先生方が、小学校での英語学習の様子が分かっていない

ことにあるように思います。

 

現在の小学校の授業だけでは、正直、「小学校でやったことにされてしまう内容」を学習しきることができないため、中学校入学時点で必要とされる英語能力にスムーズにわたるためには、家庭でのフォローが必須になってしまっているように思います。

 

また、その状況を、小学校の先生も把握してくれていないので、自分でその必要性を知らなければ周りは誰も教えてくれないという問題もあります。ぜひまわりに広めてあげてください。

 

 

あとは、小学校での英語学習の時間は限られているので、

  • そもそも「小学校で学ぶ」内容を十分習得させる時間がない

という根本的な問題もあると感じます。

 

 

また、娘の学校の場合は、

  • 小学校の英語の時間の多くがオールイングリッシュで進んでしまった

ことにも原因があると思います。

 

 

 

小学校の英語の時間は、外部講師の先生が担当をしてくれていました。担任の先生がフォローに入ってくださってふたりで授業をすることもあったようですが、担任の先生も他にもやることもあるので、英語の時間の半分以上は日本語が不慣れな英語の外部講師の先生だけで授業をされていたようです。娘は

先生が英語で何か言っているけど、何を言っているかさっぱりわからない

とよく言っていました。

 

 

英語を習っている子たちが、先生が「グループ作って”自分の家族について紹介して”と言っている」とか教えてくれるから、それでやれているけど、英語が分かる子のフォローがなかったら先生が何を言っているかはまったく分からない

と、たびたび言っていたのです。

 

 

そんな話を聞いた時も「大丈夫だよ、中学になれば分かるようになるよ」などとのんきに話をしていたわけです。

 

 

その当時、新課程の英語について調べた際に、

  • 2021年度から中学の授業もオールイングリッシュになる

という計画を目にしていました。結果的には、オールイングリッシュでの授業開始は延期された様子(少なくとも娘は日本語の解説を聞いている)ですが、もしかしたら近い将来、中学の授業もオールイングリッシュになる日がくるのかもしれません。

 

 

 

さて、私がここで何が言いたいかと言うと、

結局、小学校で学ぶとされる内容を網羅するためには家庭学習が必須

ということです。また、

小学校の英語の授業すらも家庭学習をしていない子には理解できない場合がある

ということです。

 

この現実をぜひ知ってください。

 

 

とはいえ、小学校の間は別に困りませんでした。そんなたいそうなテストがあるわけではないので、先生が何を言っているかはさっぱりわからなくても、なんとなく友達と話をして英語の授業は乗り切っていました。

 

小学校の英語の授業に関してですが、普通に英語の日常会話ができるレベルの人なら、たとえ先生がオールイングリッシュでも英語の先生が何を話しているかは分かると思いますが、逆に言うと日常会話のレベルが理解できない方の場合は授業についていくのは難しいと思います。「もしかしたら日本人の大人でも理解できない人もいるのではないか」と感じてしまいます。オールイングリッシュ。わからない人にはさっぱりですよね。

 

 

つまり、もしも小学校の英語の授業に困らないようにしたいと思うのならば、英語の授業が始まる時点では、

なんとなく英語で何を話しているかが分かるレベルになっておかなければならない

わけです。

 

また、仮に小学校の授業がチンプンカンプンであったとしても、中学になって困らないようにするためには

小学校の教科書に出てくる単語の綴りを覚えたり、使い方を覚えたりする必要があり、そのためには家庭学習が必須

という状況であることは把握しておかれるといいと思います。

 

 

ただ、自治体によって、英語学習の取り組み方はさまざまです。私の地元の九州の田舎では、小学校1年生から担任の先生が英語を教えてくださるようです。英語の宿題も出るし、家庭学習も組み込んだ形で英語学習が進行していると聞きました。英語だけでなく、他の教科についても宿題が多いので、逆に中学になっても塾に通うことは少ない地域です。事実、姪っ子たちは、小学校から高校まで一度も塾に通うことなく、ふたりとも旧帝大に通っています。つまり、塾なしでもそこまで引き上げてくれる仕組みが、田舎の公立の学校にはあります。

私の地元の公立小学校では、「放課後学習室(※名称は正確ではないかもしれません)」といって、放課後に、校長先生や教頭先生が宿題を見てくれる時間が設けられています。多くの子が「放課後学習室」に参加して、そこで学校からの宿題をしたり、自分の家庭学習用のドリルを先生に質問したりしているようです。

漢検も小学校が会場になって、希望者が小学校で受験します。「放課後学習室」に来ている子達の多くが受験していて、私の甥っ子や姪っ子たちも受けています。普通の公立小学校ですよ。地方の学校の学校教育の充実ぶりはすごいです。

 

 

一方で、現在私が住んでいる自治体では小学校1年生には英語学習はありません。スタートするのは3年生。まさに「国の指導要綱の通り」に進んでいる状態です。

 

”「楽しく英語に触れる」ためには、ネイティブの先生が一番”ということで、外部講師の先生を雇ってくださっているのだと思います。でも、正直、家庭で英語を学習していない子どもには、逆効果のように感じてしまいます。

そして、私たちの地域では、「英語は外で勉強してください。学校では時間がありません」「どのみち多くの子が塾や英語教室に通っていますし」という状態になってしまっていると思います。悪循環ですね。

 

私自身は「学校教育が充実した」地域で育ち、「勉強のことは学校で」という環境だったので、現在住んでいる自治体での小学校の様子を見ているとかなり違和感を感じます。でも、いろいろなブログを拝見する限り「家庭学習や塾ありき」の状況は、必ずしも珍しいことではないようで、私たちが子どもの頃は「勉強は学校で学ぶもの」だったのがどうやら変わってしまってきている地域も多いようです。

もちろん、私の地元のように「放課後学習室」のような仕組みが充実していて、子どもの多くが塾に通わずに学校で勉強ができる地域もあります。ご自身のお住まいの自治体の様子をよく観察されるといいと思います。

 

 

話がそれてしまいました。

 

タイトルの「英語における家庭学習の位置づけについて」ですが、自治体によって「家庭に丸投げ」のところもあれば、「学校でしっかりフォローします」というところもあり、その対応はさまざまのようです。ただ、少なくとも私たちが現在住む地域では、家庭学習なしでは乗り切れない状況になってしまっています。

 

今日も読んでいただきありがとうございます。明日もこの話題を続けます。

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